収納と水回りについて
日々生活する住宅においては、デザインだけでなく使い勝手がとても大切です。
今回は収納と水回りについてのお話です。
◆必要な場所に必要な収納を
収納は慣れてしまえばそこにあるように使うだけなのですが、効率よく使うためには配置計画をするべきだと考えています。
例えば収納において掃除機などは忘れられがちで、場所を決めたうえで必要な場合は充電器用のコンセントを近くに計画します。ロボット掃除機の場合は発信基地の計画も必要ですね。
また私たちの収納計画には棚板も含まれています。標準仕様の家具工事の一部として、収納部屋だけでなく棚板も全て付けた状態でお引渡ししています。引っ越しの時にはタンスも引出しも必要の無い状態を目指しています。
棚板も用途によって奥行きを変えます。食品庫の棚板は奥行き27cm、奥行きが深すぎると買い置きのソースが奥に行ってしまい、いつの間にか賞味期限が切れてしまいます。一方で服を収納する棚板は奥行き35cm、セーターを折りたたんだ時に27cmだと飛び出してしまうからです。本を置く棚は幅を狭くします。本は重いので幅が広いとたわんでしまうからです。
このように収納計画ではどこに何を置くか、つまり生活用品それぞれにおおよその住所を与えてあげることから始めます。
そうするといざ生活が始まった時に、いろんなものが乱雑に収納されてしまう空間がなくなり「モノを探す」時間が無くなるのです。
◆細かい配慮の必要な水回り
こうしたことは水回りでは特に大切です。
食品庫やバックカウンター付近では棚板や引出し・ごみ箱の計画をし、家具図を描いてオリジナルで製作します。
水回りの住宅設備機器の選定も重要です。
水回りは細かな配慮が必要で、最短距離の動線計画と機器選定が欠かせません。
◆水回り製品の選定
システムキッチンやシステムバス、洗面台やトイレは各メーカーが様々な製品を出しています。
それぞれのメーカーが各々に何種類かのシリーズを出しており、安価なものから高価なものまで、何種類かのグレードに分かれています。
私たちは標準仕様として各メーカーのトップグレードかセカンドグレードしか提供しておりません。
新品の状態では安価なグレードも高価なグレードも見た目では分かりません。
違うのは内部のレールや取付金物の仕様などです。
安価なグレードの引出しレールは、数年使っているとガタが来て引き出せなかったり外れてしまうことがあります。
安いものには理由があって、メンテナンスにお金がかかるということです。
水回り機器はモノにとっては過酷な環境に設置されてなおかつ使用頻度が高いですから、耐久性のあるものを選ぶべきだと考えています。
ハイグレードな商品でもメーカーによっては値打ちに提供しているものがいくつもあり、一緒にいくつかのメーカーのショールームを回って、実物を見比べていきながら住宅設備機器を選定します。
もちろんオーダー家具としての設備機器設計も承っております。
メーカーでつくるものより割高ですが、造作家具とデザインを統一して計画することができたり、細かな希望を反映させることも可能です。
このように水回り計画と収納計画を同時進行で計画し、家の中での家事動線を踏まえて適材適所に計画することで、ずっと住み続ける中で何気ない便利さを得られるのだと考えています。