空間工房森田

岐阜県の一級建築士事務所・工務店

コラム

上棟~完成お引渡しの工事の流れ

このコラムでは工事の流れのうち、基礎工事完了後、上棟から完成までの工事の流れをご紹介します。少々長い内容ですが、それぞれの工種のこだわりポイントも解説いたします。家が出来上がるまでの様子をイメージしながらご覧ください。

1. 上棟
基礎工事が完了すると上棟に移ります。日の良い日を選んで、大勢の大工職人により、クレーンを用いて建物の骨格を組み上げます。規模にもよりますが、1日もしくは2日で木架構を完成させます。

2. 屋根工事
上棟が完了すると屋根の防水ルーフィング工事と瓦工事、板金工事に入ります。屋根の標準仕様は1,130℃で焼き締めた、釉薬皮膜の陶器質の瓦を用いています。板金屋根もデザインは美しいですが、耐久性の観点からできれば瓦をお勧めしています。下屋のポーチ屋根などには板金屋根を用いることもあります。人工スレート葺きやセメント瓦などの商品は、経年劣化が早く、苔が広がり漏水の原因となるので使用いたしておりません。

3. 木工事(耐震補強工事)
屋根工事と同時並行で筋交いや間柱などの木工事を進めます。私たちは建築基準法の壁量計算で必要と定められた筋交い量をはるかに超える量の筋交いを入れております。具体的な数値は物件ごとに異なりますが、一般的な耐震等級3等級に必要とされる壁量を大きく上回るよう設計することを標準仕様としております。
筋交は全て桧の無垢材で、これも法で定められた必要断面積の1.3倍のものを採用しています。「針葉樹合板」や「木質耐力面材」などの「面材」による補強は簡単に高強度となる数値を設計できます。しかし高温多湿な日本において、湿気による劣化や、地震の連続加震に対する信用性において筋交いの方が強度を長期間担保できると考え、基本的には採用しておりません。

4. 設備配管、電気設備工事
床下や天井の配管・配線工事を行います。こうした隠れてしまう部分は施工写真を細かく撮影し、将来のリフォーム・メンテナンス時にスムーズに計画できるようにしています。

5. 鋼製建具工事
アルミサッシや木製建具を取り付けます。私たちは高断熱型Low-Eガラス(内側塗膜)の窓を基本的に採用して、夏の太陽高度の低い東西の日射を遮るよう、家の東西面に高遮熱型Low-Eガラス(外側塗膜)を使用します。南面まで高遮熱型Low-Eガラスを用いると、冬場の暖かい日差しが室内に入らなくなるため、積極的にはお勧めしておりません。
高遮熱型Low-Eガラスを全ての窓に採用すると、省エネ性能の数値を簡単に上げることができますが、日差しの入らない家になってしまいます。省エネ性能を上げるために私たちは「深い軒の出」を標準仕様として採用し、また南のお庭に落葉樹を植えることで、太陽高度の高い夏の南の日差しは遮り、太陽高度の低い冬の日射を取り入れるように設計しております。ガラスだけでなく、建築空間全体で遮熱性能を考えることが重要です。

6. 防水・外壁工事
壁面に透湿防水シートを施工し、外壁工事に移ります。外壁には耐久性やデザイン性を鑑みて、窯業系無塗装サイディングに「ジョリパットネオ」を吹付けることが多いです。他にもご要望により、「スーパー白洲 そとん壁」や「ガルバリウム鋼板」など、様々な種類の外壁の中からお施主様にお選びいただき施工しております。

7. 断熱工事
床断熱や天井断熱、壁断熱を施工します。壁や天井には吹込み断熱や発泡系断熱材は使用しておりません。湿気に弱く、木材の腐朽に弱点があると考えられるためです。建物の長寿命化のために、私たちは吸放湿性能の高い繊維系の断熱材を採用しております。

8. 造作工事
天井、床、壁を施工していきます。私たちは仕上げには無垢材ばかりを標準仕様として採用しており、様々な樹種の木材を使って工事を進めます。1枚板のカウンターなど、造作家具もこのタイミングで施工していきます。無垢材については他のコラムでも解説しています。

9. 仕上工事
天然オイルによる塗装工事、珪藻土を吹付けたクロスによる内装工事、珪藻土塗りや豆砂利モルタルを用いた左官工事などが進みます。ここでも無垢の素材が仕上げになるように施工していきます。

 

10. 設備機器工事
システムキッチンや照明器具の取付を行います。特に水回り製品については、様々なメーカーがそれぞれに、トップグレードから下のグレードまで、いくつもの商品のラインナップを揃えております。私たちは標準仕様としてトップグレード、もしくはセカンドグレードの設備機器のみを採用しております。表の見た目は同じでも、例えばキッチンの引出しに使われているレールが、下のグレードの製品だと安い金物が使われていたりします。新築時は問題ないですが、そうした製品は何年も経たずに引出しにまずガタが来てしまうため、そうした製品は採用しておりません。結果的にメンテナンスコストがかかってしまうからです。

 

11. 木製建具工事
家の内部に使う扉は全てオーダーメイドで製作しております。基本的には使い勝手の良い引込戸を採用しており、木の表情がインテリアに溶け込むよう設計しております。ご希望によりステンドグラスを埋め込んだり、無垢の框戸にしたり、デザインは自由にご検討いただけます。

12. 外構工事
内部、外部ともに工事が進むと、板塀やウッドデッキ、カーポートの工事に移ります。外構工事では耐久性が求められるため、雨水に対する配慮が大切です。板塀にしても、私たちは板金屋根をかけた板塀を標準的に採用しております。

13. 造園工事、石工事
家づくりの最後は庭の工事です。私たちの庭へのこだわりは別のコラムにて記載しますが、現場で庭師と枝ぶりを確認し、一緒になって植木をし、地被や石を据えます。庭が加わると一気に家が土地になじむように見えてきます。

14. クリーニング・お引渡し
住宅の完成です。クリーニングの後、行政等による書類手続きを経てお引渡しをいたします。

増改築工事の場合や物件によっては流れや工程に前後がありますが、おおよそどの物件もこのような流れで完成に向けて進んでいきます。いかがでしょうか、イメージは沸いてきましたでしょうか?
随時進行する現場のご案内もしておりますので、気になることはいつでもお問い合わせください!

Recent Posts

Category

© Copyright Kukan kobo Morita.