空間工房森田

岐阜県の一級建築士事務所・工務店

コラム

着工~基礎工事までの工事の流れ

このコラムでは工事の流れのうち、着工前後の工事の様子をそれぞれの工種ごとにご紹介します。

1. 地盤調査
ご契約の前後で地盤調査を行います。スウェーデンサウンディング式と呼ばれる方式により、先端の尖った重りを地面に刺して回転させ、沈み方を数値化します。ある一定の重さに対し地面の抵抗力がどれだけあるか、つまり今の地盤にどれだけの重さが乗っても沈まないかという調査を行います。平屋と2階建てでは平屋の方が建物の設計重量が小さいため、地盤かかる重さも少なくなり、安定しやすくなります。
私たちの場合は必ず地盤調査に設計を担う建築士が現地で立ち合い、地盤の状態を確認するようにしております。地盤調査結果はデータで出てきますが、深さ25cmごとの数値しか出てきません。データと計算書だけでなく、現地で見聞きした25cm進む間の機械の動きや音、現地で調査する職人との話し合いを踏まえ、調査結果をお施主様にご報告いたします。
地盤強度や土の質は土地によって皆異なります。「自沈層」と呼ばれる軟弱な部分を持つ地盤や、建物重量に対して地盤強度が不足している場合は地盤補強工事を行います。

2. 地鎮祭
工事着工の予定が決まると「地鎮祭」を執り行います。地鎮祭とは古くからある風習で、その土地を守っている氏神様に対して、工事の安全を祈願する祭事です。義務ではありませんが、執り行う方が多いです。土地に既存の建物が建っている場合などは、先行して解体工事だけ行い、地鎮祭をすることもあります。

3. 地盤補強工事
弱い地盤のままでは建物が沈んでしまう可能性があるため、地盤調査の結果によっては、基礎工事の前に地盤補強工事を行います。土地の性質に合わせて主に2種類の地盤補強工事のどちらかを選択いたします。

A. 表層改良工事
地盤の表面50cm~150cm程度の土とセメントを撹拌・転圧して地盤強度を確保します。
地表近くに地盤の固い層(支持地盤といいます)がある場合に採用します。

B. 柱状改良工事
セメントミルクを注入しながら地面を掘削・撹拌し、柱状の硬化体を生成します。
地表深くに支持地盤がある場合はその深さまで、もしくは支持地盤がとても深い場合は地面と柱状杭との摩擦によって、強度を担保する杭を施工します。

地盤強度は建築の耐震性能を適切に地面に伝えるために必要不可欠なものです。安定した地面でないと、建物の重量を支え切れません。基礎の面積によって補強が必要な面積が異なるため、必然的に平屋の建物や、1階部分の面積が大きい建物は地盤補強費用が高くなります。

 

5. 基礎工事
地盤改良工事の必要ない場合は、確認申請業務が完了した後、基礎工事に着手します。
基礎工事が始まるとまずは整地から始まり、丁張、防湿シート張り、鉄筋組み、コンクリート打設と進みます。
当社の基礎形状は地盤強度に関わらず、布基礎ではなくベタ基礎を採用し、鉄筋は標準仕様として、多雪地域に対応した鉄筋ピッチ(D13縦横@150)を採用しています。
私たちが求める構造強度を計算通り地面に伝えるためには、これだけの仕様が適切かと考えております。
もともと当社が多雪地域である揖斐川町をルーツとしているため、雪が積もった瓦屋根(重量の大きな屋根)の状態で巨大地震が来ても安心して過ごせるよう、標準仕様を定めてきました。昨今、断熱材や外装材の重量が増し、建物の重量化が進んでいることも鑑みると、必要な仕様だと考えています。

6. 外部配管工事・足場組み
基礎工事と並行して、屋外の配管工事を進めます。水勾配を現地で職人と打合せ、庭の仕上がりも検討しながら施工します。水道配管が完了すると、桧の土台を施工し、上棟に向けて足場組みを行います。

以上のような流れで着工してゆきます。地盤や基礎の工事は天候や時期によって工期が大きく変化するため、雨や雪が降らないよう祈る日もあります。

こうした建物の足元まわりは完成すると見えなくなるところがほとんどですが、この基本となる部分がとても重要です。長寿命の家づくりには欠かせない基礎まわり、皆さまも是非覚えておいてください。

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