2019.03.23
みなさんこんにちは!
桜が咲き始めたと思えば雪がちらついてみたり、筆者は流行り病にかかって寝込んでおりましたが、季節の変わり目をいかがお過ごしでしょうか?
さて、本日は揖斐川町KY邸の完成までの様子をお届けしながら、改築の設計や現場監督の仕事を体験してみましょう。
今回は大工の横山棟梁が工事に入るところから。
まずは改築をするにあたって床を組んでいきます。ここは将来LDKになる空間です。
床の構造を組みながら足元が冷えないよう、断熱材を施工します。
この床組みで重要なのは木構造をきちんとコンクリートと一体化させること。
大きな空間の真ん中あたりの床の構造は、一般的には「鋼製束」と呼ばれる支持材で重みを支えます。
木材が反って変形する力に対しては、鋼製束を土間と接着剤でくっつけたり釘やビスのようなもので止めたりするのですが、これだけでは長期間で見たとき木材の変形を止めきれません。
将来的に接着が剥がれた場合、「床鳴り」の原因となってしまうため、空間工房 森田ではここにひと工夫。
頑丈なアンカーをコンクリートに打ち込み、太い鉄線で木構造を直接引っ張ってコンクリートと一体化します。
こうすることで床全体の浮きを防止、万が一床鳴りが生じてもこの工法であれば床下の鉄線を増し締めすれば解消できます。
このようなひと手間で長い間安心して暮らせるよう工夫しています。
つぎはこちら、空間工房 森田の床下はとにかく健康的でメンテナンスしやすい環境づくりに力を入れています。
改築のような複雑な計画でも配管ルートは特に重要。
長期間使用しても詰まりにくい配管計画を行い、万が一にも詰まった場合、掃除孔を要所に設けているのでメンテナンスが簡単にできるようになっています。
将来的な水回りのリフォームにも対応できるよう、重要な接続箇所の近くには点検口も作っています。
外に目を向けると外壁も下地の工事が進みました。
改築の現場は水平垂直を出すことにひと苦労。
家全体が場所ごとに微妙に傾いていることが多いので、下地で垂直を出しながら完成する外壁のかたちを整えていきます。
外部の照明はこうした下地の隙間をぬうようにして配線していきます。
外壁を張ると…いよいよ…
完成です!
こちらが先ほど床を工事していたLDK
古い大きな骨格はそのままに、デザインに取り入れました。
階段室も一新。
足元にはルンバが自動で格納できる空間を作りました。
トイレも杉板張りとすることで湿気を吸うようなつくりに。
清潔な環境を維持します。
これまで木構造に湿気をため込んでいた造作浴室も、システムバスに変更することで構造を健康的に保ち、かつ明るく爽やかな風呂場になりました。
こちらが新しい玄関。
古い構造を見せながら、暗かった空間を明るい色調でまとめてみました。
外観も山並みを背景に、落ち着いたトーンに。
板金にすることであらわしになっていた木構造を保護し、これからも住み続けられる長寿命の家づくりを目指しました。
さて、いかがでしたでしょうか?
改修工事は既存の状態をよくよく観察し、現場の工事をしながら設計していくことが大切。柔軟な判断が必要な分、新築よりも難しいですが、ビフォーアフターの変化があってとても楽しいです。
複雑な既存の建物も、是非当社へご相談くださいね!
2019.03.13
みなさんこんにちは
本日は以前発見した小ネタをシリーズアニマル、物語としておひとつご紹介いたします。
何年か前のとある冬の日、現場で外構のコンクリート工事が行われておりました。
豆知識ですが、コンクリートはドロドロの状態で生コン車で現場に運ばれてきて、型枠に流し込んで時間を置くことで固まり、強度を発現します。
ここまでは皆さんご存知でしょう。
ただ、コンクリートはいわゆる「乾く」つまり水分が乾燥することで強度が出るわけではありません。
表面の水の引きなどは乾燥度合いによって異なりますが、コンクリートは化学反応によって固まります。
コンクリートを構成する成分同士が反応して凝固するため、むしろ水の引きが早すぎるとうまく化学反応しません。
たとえば大きな現場で猛暑の時などは、散水しながら固まるのを促進するくらいです。
そしてコンクリートが化学反応するとき…熱を発します。
固まり始めのコンクリートを触れるとけっこう温かいです。
これが冬の小動物にとっては最適な床暖房になるのでしょう。
こんなようすが撮れました。
きっと現場近くをうろついていた彼が犯人なのでしょう。
寒い冬をしのぐ彼らのささやかな幸せなのかもしれませんね。
(…後日補修して無事完成しました。)
2019.03.04
皆さんこんにちは!
今回はシリーズ旅紀行、前回に引き続き北陸の旅をお送りいたします。
前回皆さんに出題しました問題、ここはいったいどこでしょうか!?というものですが…
正解は氷見漁港のオープンテラスでした。
そう、福井の次は富山にまでやってまいりました。
美味しい海鮮を食べながら旅をする相方は、人が変わって先日一緒に登山をした盛田くん。組織設計事務所で広大な面積のプロジェクトを手掛けています。
もう一人右にいるのが同じく学生時代の友人の園家くん。歴史研究室の同期で、彼は東京の佐久間徹設計事務所というアトリエ事務所で住宅のデザインをしています。
建築の人間が集まるとやはり見て回るのはご当地有名どころの建築!
こちらは長谷川逸子氏設計の氷見市海浜植物園。
建築本体の構成もさることながら、園内の植物とのありようが階を移動するごとに移り変わって、とても変化に富んだ豊かな空間でした。
お次は富山市内にある富山県美術館。
前回ご紹介した福井県年縞博物館を設計した内藤廣氏の設計です。
立山連峰に並行する軸線を起点に設計されています。
内部はこんな感じに。
さまざまなマテリアルが繊細に組み合わされながらも、空間の構成はとても大胆。
我々建築の人間が集まって見学すると、こんな風になります。
おのおのの気になるポイントが突然あらわれて誰かが釘付けに。
園家くんは大きな間仕切りでしょうか、この素材の感じと収まりが気になる様子。
屋上には子どもたちのための遊戯空間が。
立山連峰や隣接する富岩運河環水公園を一望できる、解放感あふれる空間です。
盛田くんはエレベーターの庇の雨水の処理部分のデザインが気になる様子。
水勾配をとりつつも非常に美しく処理しています。
私はこれ!
屋上の手摺のディテールです。仕上げは溶融亜鉛メッキのリン酸処理でしょう。
通常は熱によって金属の母材が変形してしまうものですが、こんなに細く繊細な材料をどうやってここまで綺麗に加工組立できたのか…
仕上がり寸法で9mmとは…
…こんな感じで寸法を測ったり写真を撮ったりしていると予定していた見学時間なんてアテになりません 笑
館内には模型と図面も展示されていて、設計者心をくすぐる見ごたえのある展示でした。
せっかくなので本来の美術館の内容である椅子の展示などもチェック!
名作椅子に実際に座れたりしてこちらも良い展示でした。
夕方に近づくと環水公園一帯はまたしっとりとした空間に早変わり。
公園一帯をさまざまな建築が取り囲んでいるので、それらも見学してまわりました。
この富山市総合体育館もコンクリートのどっしりとした内観がとても魅力的で、余計に時間を奪われました。
戻ってきて夜景もきちんと堪能!
歩きつくしてへとへとでしたが、とても勉強になりました!!
そして…
富山に来たんですから…もちろんあります。
シリーズ旅紀行、まだまだ旅は終わりません!次回に続きます!!!
みなさんお楽しみに!