家づくりへの想い

古来、日本の住宅は夏に涼しく過ごせる事に重点を置いて造られてきました。高温多湿、しかも台風もやってくることから、日本の伝統的な住宅は部屋を壁で仕切らず風通しを良くして夏の暑さを和らげるようになっていました。襖(ふすま)や障子という取り外し可能な建具を用い、床を高くして畳を敷いたのはこのような気候に対処するための工夫からだったのでしょう。

しかし昭和に入り、特に戦後、基礎にはコンクリート、窓は金属、障子紙がガラスに変わり住文化は一変してしまいました。 昔の玉石基礎の頃はほとんど無かった蟻害、土壁の時には気にもしなかった壁内結露、窓回りの結露...古い木造建築物は寿命が長いのに、新しいものは寿命が短いという逆の現象が起きてしまいました。 法隆寺は1400年近く経って未だに健在です。何百年もの間、人を雨露から守り続けた木造建物は今でも数多く存在しています。かといって鉄筋コンクリート基礎やアルミサッシ等が悪いと言っているのではありません。優れた材料でも使い方によってはデメリットも表れてしまいます。

デメリットを少なくするには正しい材料を選択し、正しい施工法を行われなければいけないのです。 最近の日本の建築寿命は平均で27年、これはイギリスの84年、アメリカの45年に比べかなり短寿命と言えます。 何に問題があり、どうした家が長生きできるのかをいつも考え、35年間の建築現場での経験を生かし家造りをさせて頂きたいと思っております。 長寿命の家を造ることが一番の省エネです。


長寿の家とは

空間工房 森田の考える『長寿の家』は、現代建築の中で正しい施工法によて無垢材を使用し、20年先、30年先の生活変化時に対応する構造設計によって長寿命を実現する住宅です。

無垢材の良さ -なぜ無垢材なのか 東濃ヒノキの良さ-

無垢材には森で樹木として生きていた時に水を吸い上げるための道管がたくさんあります。(針葉樹は仮道管といい道管の直径は約0.01~0.05㎜。樹種や産地によって違いがあります。)

製材され木材となって柱や天井板等に使われてもそれは空洞として表面に表れ木材の中まで続いております。木部繊維と道管や仮道管で構成せれた無垢材は、熱の伝達も少なく、その木材自身に断熱効果があり表面の導官孔は調湿効果もあります。

合板は、接着剤の部分が多く堅いので無垢材に比べると熱の伝達が良いという事(寒い時期は無垢材より表面温度が低くなる)と、表面に道管や仮道管の孔はありません。

桧といっても産地によって質はさまざまです。当社では、加子母の製材屋さんから東濃桧の柱を仕入れております。東濃桧は、ピンクで艶があるのが特徴です。

加子母に生活する多くの家は山を所有され、林道も整っており、間伐や枝打ち等の手入れがされ、管理が行き届いております。その為、目の詰まった(年輪巾が狭い)良い木材がとれます。4寸角(12㎝四角)で長さ3mの柱材なら約45年~50年の樹齢の物(6寸丸太)になります。
伊勢神宮の式年遷宮に使われる御用材が育つ神宮備林もこの加子母にあります。

変化するライフスタイルにはどのように対応するのか

例えば、家を建てようとするご家族が35才のご主人、32才の奥様、7才と5才のお子様だとすると、お子様が中学校に上がられる前の12才になられる5年後頃には独立した子供部屋が必要になります。その時ご主人は40才、奥様は37才。
また下のお子様が高校を卒業され大学へ進学され、もしかしたらお子様2人共遠くで一人暮らしをされているかもしれない13年後頃には、1階が中心の生活。その時ご主人は、48才奥様は45才。
そして上のお子様がご結婚されお孫様が産まれる20年後頃には、同居なら増築又は、2世帯に増改築。それとも少しの間アパートなどで暮らされお孫様が3才ぐらいになって、アパートから帰ってこられる25年後頃、みんなで集まってパーティをしたりと、憩の空間となる様な場所が欲しくなるかもしれません。その時ご主人は60才、奥様が57才。 室内をかけ回るお孫さんの姿を微笑みながら眺めるご夫婦の姿が想像できるのではないでしょうか。

年をとる事はあまり想像したくありませんし、先にお金のかかる事を考えたくないのですが、確実に未来は現実になる時がきます。 生活スタイルの変化は、1軒1軒様々でしょうが、我が家の25年後がどんな生活なのかを少し考えて計画すると、一味違ってくると思います。

揖斐は、雪が多いことから構造材を太くする文化があります。2間(当社では3,760㎜)ごとに東濃桧5寸角(15㎝四角、大黒柱には大きな物)の通し柱を設け、それを梁成1尺2寸(36cm)の胴差し(通し柱をつなぐ梁)を上下のボルトで繋ぎます。2間の間の下に柱が何本あっても、なくてもその大きさで繋ぎますので、将来柱を抜いて改築する事も可能です。(その時は別の壁で補強も必要です)

そして、その家に一番長く時間を過ごされるであろう奥様が安心して幸せに暮らせるように願って設計しております。

結露などの自然現象に対しての構造の工夫とは

結露は空気が冷たい物に触れ、水滴となる自然現象です。
例えば室温20℃湿度50%(相対湿度)の空気が表面温度9℃以下の物に触れると結露します。 この場合、気温20℃湿度50%の露点温度(飽和水蒸気量になる温度)が9.6℃だからです。言い換えれば表面温度が10℃以上であれば結露しないと言う事です。

押入れ内の気温が30℃湿度80%の場合、表面温度26℃の物に触れると結露します。 結露を防ぐ方法は、室温を下げる、湿度を下げる、空気が触れる物の表面温度を上げるといった事でしょうか。

しかし冬の時期に室温を下げる事は快適な生活とは言えません。 であれば、室内の空気が触れる表面の温度を下げない様にすれば良いのです。 例えば、外気に触れたガラスは一番室温に影響します。その室内側を熱の伝わりにくくする方法や、金属やガラスやコンクリートより無垢材の板や珪藻土の方が表面が冷たくありません。そういった熱伝導の悪い物を使用するという事です。

その他、冷暖房の仕方で湿度を下げる方法や、狭い部屋では、換気の仕方や空気を循環させる方法、室内と壁内の気圧差を検討等、いろいろな工夫で室内も壁内も結露しない家を造る事ができます。